事業再構築の指針が3月17日に中小企業庁から発表されましたが、3月29日に改訂版が公開されました。

3/29 改訂内容はこちら

改訂履歴より

該当要件の一部が変わっています。
①削除された部分
②追加された部分
③ニュアンスが変わった部分

個人的には「競合他社の多くが既に製造等している製品等(製造方法等)でないこと」が削除されたことが、現実的に当然のことと思いホッとしているところです。

事業再構築指針の手引き 2021.3.29改訂

事業再構築指針 2021.3.29改訂

よくあるお問い合わせ 2021.3.29時点

その後公募要領も発表になりましたので、こたらの指針の内容を見ながら進める必要があります。

事務局発表の公募要領はこちら

私の公募要領に関する投稿はこちら

事業再構築補助金の概要 2021.2.15発表

事業再構築指針の手引きからポイントとなりそうな部分を以下にまとめてみました。(中小企業卒業枠、中堅企業グローバルV字回復枠 については説明を割愛します。)

申請にあたり・・・

  • この説明内容は中小企業庁の発表内容をもとに作成しましたが、間違っている可能性があります。必ずご自身で中小企業庁の内容をご確認ください。
  • こちらの内容が原因で生じたトラブルについては一切の責任を負いませんのでご承知おきください。
  • 申請は全て電子申請となりますので「GビズIDプライムアカウント」が必要です。    GビズID紹介動画(アカウント作成編)
  • 事前に金融機関とのすり合わせを行い、計画内容についての支援の了解を得ておいてください。
  • 計画内容については認定経営革新等支援機関等(金融機関)との共同で作成します。 経営革新等支援機関認定一覧について
  • 補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定します。

事業再構築補助金の大前提

売上高減少要件に新型コロナウイルス感染症の影響によらない売上の減少は、対象外です。」と記載されています。

事業概要にはこう書かれています。

本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。

売上減少の原因が「新型コロナウイルス感染症の影響でない場合」
取り組む内容が「ウイズコロナ・ポストコロナに対応するものでない場合」

事業再構築指針は事業再構築補助金申請の最低条件

事業再構築指針の手引き 10.留意事項 にはこのように記載されています。

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本資料に掲載している事業再構築の要件は、申請に当たっての最低条件です。採択されるためには、これらを踏まえた上で、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。

事業再構築指針の手引きより

 こちらの手引きに記載されている要件は「最低要件」であると明確に記載されていますので、申請するための最低条件がこの事業再構築指針という位置づけのようです。
 従って事業再構築指針に合致した事業計画内容であること、更には今後発表される公募要領における要件を全てクリアしていないと申請することすらできないということになります。

事業再構築に該当しない(例)

今回の指針では「非該当例」という内容が既に明確になっています。
こちらに該当する計画は100%申請する資格がないと思われます。
現在計画している内容が該当しないかを確認してみてください。

指針に載っている「「該当しない可能性の高い(例)」

3月29日改訂版で内容が変わりました。

※なお、必ず「指針」「指針の手引」をご確認ください。

事業再構築指針の手引き 3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

もっとも気になるもののひとつとして売り上げ計画があります。
申請要件に合致する3~5年後の売上計画は作成できますが、その後の報告方法、達成できなかった場合のペナルティー はあるのでしょうか。
付加価値計画と同様に気になるところです。

事業再構築の定義・種類

事業再構築指針の手引きより

定義について

中小企業等事業再構築促進事業(以下「本事業」という。)において、事業再構
築とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかを
行う計画に基づく中小企業等の事業活動をいう。

事業再構築指針より

事業再構築の「種類」について

「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。

事業再構築指針の手引きより

日本標準産業分類が ①これまでの自社の既存事業と ②事業再構築で計画する事業 とでどう変わるか。

  • 新分野展開と業態転換は、日本標準産業分類が現在と原則は変わらない
  • 事業転換は、日本標準産業分類の中分類・小分類・再分類レベルで変化する
  • 業種転換は大分類レベルで変化する
    と想定されます。

日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次

1.新分野展開

・「新分野展開」とは主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。

・「新分野展開」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高10%要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引きより

主たる業種

「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業」

主たる事業

「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業」

日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次

【該当要件】

①主たる事業又は主たる業種を変更する場合は、「4.事業転換」又は「5.業種転換」を参照してください。


②新分野展開に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。

【製品等の新規性要件】
具体的な内容は、3-2及び3-3を参照してください。


③新分野展開に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。

【市場の新規性要件】
具体的な内容は、3-4及び3-5を参照してください。


④3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の売上高が総売上高の10%(※)以上となる計画を策定する
ことが必要です。

【売上高10%要件】

(※)10%は申請するための最低条件です。新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

製品等】の新規性…以下をすべて満たすこと。

製品等の新規性要件を満たすためには、①過去に製造等した実績がないこと、②主要な設備を変更すること、③定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合)3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

※「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

製品の新規性の要件を満たさない(例)…該当している場合にはできません

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

市場】の新規性

市場の新規性要件を満たすためには、新製品等を販売した際に、既存製品等の需要が単純に置き換わるのではなく、売上が販売前と比べて大きく減少しないことや、むしろ相乗効果により増大することを事業計画においてお示しください。

(例)日本料理店が、新たにオンラインの料理教室を始める場合、オンライン料理教室を始めたことにより、日本料理店の売上は変わらない(むしろ宣伝による相乗効果により上がる)と考えられることから、市場の新規性要件を満たすと考えられる。

事業再構築指針の手引きより

※「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

市場の新規性の要件を満たさない(例)…該当している場合にはできません

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

新分野展開の要件を満たす例

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

2.事業転換

・「事業転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。

・「事業転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引きより

主たる業種

「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業」

主たる事業

「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業」

日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次

【該当要件】

①主たる業種を変更する場合には、「5.業種転換」を参照してください。


②事業転換に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。【製品等の新規性要件】これは、新分野展開における【製品等の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-2及び3-3を参照してください。


③事業転換に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。【市場の新規性要件】これは、新分野展開における【市場の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-4及び3-5を参照してください。


④事業転換に該当するためには、3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。【売上高構成比要件】※売上高10%要件は不要

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

3.業種転換

・「業種転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。

・「業種転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引きより

主たる業種

「直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業」

日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次

【該当要件】

①業種転換に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。

【製品等の新規性要件】これは、新分野展開における【製品等の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-2及び3-3を参照してください。


②業種転換に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。

【市場の新規性要件】これは、新分野展開における【市場の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-4及び3-5を参照してください。


③業種転換に該当するためには、3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する業種が、売上高構成比の最も高い業種となる計画を策定することが必要です。【売上高構成比要件】※売上高10%要件は不要

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

4.業態転換

・「業態転換」とは製品等の製造方法等を相当程度変更することを指します。

・「業態転換」に該当するためには、「製造方法等の新規性要件」、「製品の新規性要件」(製造方法の変更の場合)又は「設備撤去等又はデジタル活用要件」(提供方法の変更の場合)、「売上高10%要件」の3つを全てを満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引きより

【該当要件】

①業態転換に該当するためには、製品等の製造方法等が新規性を有するものである必要があります。

【製造方法等の新規性要件】

具体的な内容は、6-2及び6-3を参照してください。
②新たな方法で製造される製品が新規性を有するものである必要があります(製品の製造方法を変更する場合に限ります)。

【製品の新規性要件】
これは、新分野展開における【製品等の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-2及び3-3を参照してください。


③新たな方法で提供される商品若しくはサービスが新規性を有するもの又は既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うものである必要があります。(商品又はサービスの提供方法を変更する場合に限ります)。
【商品等の新規性要件】又は【設備撤去等要件】
このうち、商品等の新規性要件は新分野展開における【製品等の新規性要件】と同義です。具体的な内容は、3-2及び3-3を参照してください。


④これらを通じて、3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の製造方法等による売上高が、総売上高の10%(※)以上を占める計画を策定することが必要です。

【売上高10%要件】
【注】②の要件は、製造業の分野で事業再構築を行う場合に限って必要となります。
【注】③の要件は、製造業以外の分野で事業再構築を行う場合に限って必要となります。
(※)10%は申請するための最低条件です。新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

5.事業再編

・「事業再編」とは会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことを指します。

・「事業再編」に該当するためには、組織再編要件、その他の事業再構築要件の2つをどちらも満たす(=事業計画において示す)必要があります。

事業再構築指針の手引きより

【該当性判断基準】

①事業再編に該当するためには、会社法上の組織再編行為(※1)等を行う必要があります。
【組織再編要件】
(※1)合併、会社分割、株式交換、株式移転又は事業譲渡を指します。


②事業再編に該当するためには、その他の事業再構築のいずれかの類型(※2)の要件を満たす
必要があります。【その他の事業再構築要件】
(※2)新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換を指します。

事業再構築指針の手引き3/29改訂版より
事業再構築指針の手引き3/29改訂版より

まとめ

個人的な感覚ですが、当初予想していたよりもかなり厳しめの内容(要件)であると感じました。

今後更に細かな公募要領、様式、審査項目が発表されますが、これらの条件を全てクリアした事業計画を策定し、応募までこぎつける企業は少ないのではないかと感じます。

補助金をもらうことが目的化しないよう、絶対に無理な計画を策定しないことが大切です。

事業再構築の指針が3月17日に中小企業庁から発表されましたが、3月29日に改訂版が公開されました。

事業再構築指針の手引き 2021.3.29改訂

事業再構築指針 2021.3.29改訂

よくあるお問い合わせ 2021.3.29時点

その後公募要領も発表になりましたので、こたらの指針の内容を見ながら進める必要があります。

公募要領はこちら

事業再構築補助金の概要 2021.2.15発表