こども家庭庁の発足から数年、日本の「こども虐待対応」が大きな転換点を迎えています。
令和7年(2025年)12月24日、国は『子ども虐待対応の手引き』の全部改正を行いました 。
これは単なるマニュアルの修正ではありません。
子どもを「保護の対象」から「権利の主体」へと引き上げ、来年(令和8年)の「日本版DBS」導入とも連動する、社会全体の意識変革を促す重要な改定です 。
本記事では、行政書士およびSDGsコンサルタントの視点から、今回の改正が私たちの生活や事業にどう影響するのか、そのポイントを分かりやすく解説します。
改正された手引きはこちら
なぜ今、「虐待対応」が変わるのか。
その背景と未来への展望を解説します。
変更の理由や目的
なぜ今、大幅な改訂が必要だったのでしょうか。
- 法改正と新体制への対応(令和4年改正児童福祉法・こども家庭庁創設)
- 令和4年の法改正により、子育て世帯に対する包括的な支援体制の強化が図られました 。具体的には、市町村における「こども家庭センター」の設置努力義務化や、家庭支援事業の創設などが盛り込まれました。
- 令和5年4月のこども家庭庁創設を踏まえた新たな総合対策に基づき、改正法の円滑な施行に対応する必要がありました 。
- 一時保護時の司法審査の導入(令和7年6月施行)や、こども家庭ソーシャルワーカーの創設など、新しい仕組みを反映させる必要がありました 。
- 手引きの「役割」と「構成」の抜本的な見直し
- これまでこの手引きに書かれていた「具体的な対応手順」を他のガイドラインへ移し、この手引き自体の役割を「原則論」に特化させました。
- この手引きには「虐待対応の方法」や「関係機関との連携」といった実務的な手順も記載されていました 。
- しかし、今回の改正でそれらの記述を「児童相談所運営指針」「こども家庭センターガイドライン」「一時保護ガイドライン」などの関連指針へ移設しました 。
- その結果、本手引きは、すべての関係機関が共通して把握しておくべき「対応の原則」「基本的な考え方」および「特別に留意が必要な事例(ヤングケアラーや特定妊婦など)への対応」を整理した資料として再定義されました 。
- これまでこの手引きに書かれていた「具体的な対応手順」を他のガイドラインへ移し、この手引き自体の役割を「原則論」に特化させました。
- 市町村の役割拡大への対応
- 虐待相談の増加に伴い、児童相談所だけですべてを受け止めることは難しくなっています 。
- そのため、身近な場所での支援を担う市町村(こども家庭センター)の役割や、児童相談所との連携・役割分担を明確にする必要がありました 。
なぜ今、改正なのか?「実務マニュアル」から「羅針盤」へ
今回の改正の最大の特徴は、手引きの役割が「実務マニュアル」から「共通の原則・羅針盤」へと再定義されたことです 。
- これまで: 細かい手順も含む「実務マニュアル」
- これから: 全関係機関が共有すべき「対応の原則・羅針盤」
これまで手引きに含まれていた細かい「対応手順」は、児童相談所や市町村の各ガイドラインへ移設されました 。
その代わりに、学校、警察、病院、市町村など、子どもに関わるすべての機関が共有すべき「対応の原則」と「権利擁護(アドボカシー)」の視点が徹底されています 。
- 市町村と児童相談所の役割分担の明確化
- 児童相談所 専門的知識・技術が必要な相談、介入(一時保護・施設入所等)、市町村への技術的援助・助言を担います。
- 双方が共通のリスクアセスメントを行い、適切な送致・連携を行うことが求められます。
- 法的対応・権利擁護の強化
- 体罰禁止の法定化、一時保護時の司法審査導入(令和7年6月施行)、一時保護中の面会通信制限・居所秘匿の規定整備などが反映されました。
- こどもの意見表明権の保障(アドボカシー)や、こどもの最善の利益を優先する原則が強調されています。
- 子どもが自分に関わる事柄について自由に意見を表明する権利(子どもの権利条約第12条)を、大人や社会が支援し、権利を実現する活動です。
- 切れ目のない支援とパーマネンシーの保障
- 発生予防から自立に至るまで、および親子再統合や社会的養護経験者への支援も含めた「切れ目のない支援」が明記されました。
- こどもが永続的に安心して暮らせる関係性・環境を保障する「パーマネンシー」の視点が基本的考え方に組み込まれました。
- 子どもが将来にわたって安定した生活と愛着関係を築けるよう、永続的で信頼できる大人との「つながり(関係性)」と「環境」を保障すること
「しつけ」の定義と新たな虐待リスク
「しつけ」を理由とした体罰は、すでに法律で明確に禁止されています 。
今回の手引きでは、多様化する家庭環境に対応するため、以下の事例への対応指針が新たに詳細化されました 。
- 「特別に留意が必要な事例」の拡充(第3章)
- 多様化する虐待要因に対応するため、以下の事例への対応指針が詳細に記述されました。
- きょうだい間虐待・心理的影響
- 保護者の依存症(アルコール・薬物・ギャンブル等)
- 特定妊婦・飛び込み出産
- ヤングケアラー(被虐待児がケアラーである場合を含む)
- 本来大人(親など)が担うべき家族の家事や介護、世話などを日常的に行っている子どもや若者のことです。
- 乳幼児頭部外傷(AHT)
- 5歳未満の子どもに対し、鈍的外力や激しい揺さぶり( シェイキング)が意図的に加えられ、頭蓋骨や頭蓋内に生じる損傷の総称で、身体的虐待の中でも重篤な状態を指します。
- 代理によるミュンヒハウゼン症候群(Medical Child Abuse)
- 親の承認欲求のために、子どもに不必要な医療行為を受けさせること。
- 多様化する虐待要因に対応するため、以下の事例への対応指針が詳細に記述されました。
国が定めた「しつけの境界」は具体的な「3つの判断基準」
1. 「体罰」は一切の例外なくNG
- 法律および今回の手引き改正において、体罰は法的に禁止されています。
- 「しつけのために叩いた」「愛の鞭だ」という親側の理由は、もはや法的な正当性を持ちません。
- 身体的な苦痛を与える行為や、怒鳴りつけるなどの行為により、子どもの心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動は、すべて虐待とみなされます。
2. 「親の意図」ではなく「子どもの権利」が基準
- 今回の改正手引きの最大の特徴は、子どもを単なる「保護の対象」ではなく、一人の「権利の主体」として扱っている点です。
- たとえ親が「良かれと思って」行ったことであっても、以下のようなケースは「権利侵害(虐待)」と判断される可能性が高まりました。
- ヤングケアラー
- 「お手伝い」の範疇を超え、本来大人が担うべき介護や世話を子どもに負わせ、勉強や友人との時間(子どもらしく過ごす権利)を奪うこと。
- 代理によるミュンヒハウゼン症候群 (MSBP)
- 親が周囲の同情を引くために、子どもを病気に仕立て上げたり、不必要な医療行為を受けさせたりすること(医療虐待)。
- ヤングケアラー
3. 「司法審査」による客観的な線引き
- 令和7年6月から導入された「一時保護時の司法審査」により、境界線の判定に「裁判所」が介入するようになりました。
- これまで児童相談所が判断していた「ここからが虐待(保護対象)」というラインに対し、裁判官が「一時保護状」の発付審査を行うことで、より厳格かつ客観的に判定されます。
日本版DBS制度施行との関連は?
今回の手引き改定は、来年施行される日本版DBSが稼働する土壌(社会の意識・連携体制)を整えるための重要なステップと言えます。
日本版DBS制度(こども性暴力防止法)と、今回改定された『子ども虐待対応の手引き』は、「車の両輪」として整合性が取られています。
- 家庭内:『子ども虐待対応の手引き』で守る。
- 家庭外(学校・習い事等):『日本版DBS』で性犯罪歴のある人物の就労を制限し、守る。
この「車の両輪」により、子どもの生活圏全域にセーフティネットを張るのが国の狙いです 。

具体的には、「家庭内」の虐待対応を強化する本手引きと、「家庭外(学校・保育所等)」での性犯罪を防ぐ日本版DBSがセットになり、こどもの生活圏全域で安全網(セーフティネット)を完成させる関係にあります。
| 項目 | 日本版DBSガイドライン(素案) | 子ども虐待対応の手引き(改正) |
| 法的根拠 | こども性暴力防止法 | 児童虐待防止法、児童福祉法 |
| 主目的 | 「従事者」による性暴力の防止(予防) | 「保護者等」による虐待への対応(保護) |
| 対象となる加害者 | 教員、保育士、塾講師、スポーツ指導員など | 親権者、未成年後見人、同居人など |
| フェーズ | 発生前の予防(就労制限・スクリーニング) | 発生後の対応・早期発見・再発防止 |
| 核となる仕組み | 犯罪事実確認(日本版DBS)、安全確保措置 | 多機関連携(要対協)、リスクアセスメント |
| 事業者のアクション | ・認定申請(民間の場合) ・犯歴確認の体制整備 ・研修の実施 | ・発生予防(リスク家庭の把握) ・通告、安全確認、保護 ・自立支援までの切れ目ない支援 |
| 対象となる行為 | 不同意性交、わいせつ行為、盗撮、セクハラ等 | 身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待 |
| キーワード | 支配性・継続性・閉鎖性、認定事業者マーク | こどもの権利擁護、ヤングケアラー |
- 「性暴力への厳格な対応」の共通化
- 手引き(第3章10)
- 性的虐待への対応指針が詳細化され、被害確認における「司法面接(協同面接)」や、こどもの心理的負担を減らす配慮が強調されました。これは日本版DBSが目指す「性被害の防止・早期発見」の理念と完全に一致します。
- 整合性
- 家庭内(手引き)でも家庭外(DBS)でも、**「性被害は重大な権利侵害であり、大人が徹底して守る」**という基準が統一されました。
- 手引き(第3章10)
- 「施設内虐待」への対応リンク
- 手引き(第1章)
- 児童福祉施設の職員等による虐待(被措置児童等虐待)については、別途ガイドラインを参照するよう記載されています。
- 整合性
- 日本版DBSは、まさにこの「施設・学校の職員」を対象とした制度です。
- 手引きでは「発生後の対応」を、DBSでは「採用段階での排除」を担うことで、施設内での被害を二重に防ぐ構造になっています。
- 手引き(第1章)
- 情報の「共有」と「秘匿」の使い分け
- 手引き
- こどもの安全確保のために、関係機関(学校、警察、病院等)が情報を積極的に共有することを求めています(守秘義務の例外規定の活用)。
- 日本版DBS
- 性犯罪歴という高度なプライバシー情報を扱いながらも、「こどもの安全」を最優先して情報を活用する仕組みです。
- 整合性
- 「大人のプライバシーよりも、こどもの安全が優先される(Child Safety First)」という新しい価値観が、両制度の根底に流れています。
- 手引き
令和7年6月から始まっている「司法審査」との連携
忘れてはならないのが、今年(令和7年)6月から施行されている「一時保護時の司法審査」です 。
虐待の疑いで子どもを保護(親子分離)する際、親権者の同意がない場合は裁判官が「一時保護状」を発付する仕組みが稼働しています。
これにより、行政判断だけでなく「司法」という第三者の目が入り、より客観的に子どもの安全と親子の権利が審査されるようになりました。
- 児童福祉法改正により導入された「一時保護時の司法審査」は、2025年6月1日から施行されました。
- この制度は、児童相談所による一時保護の適正性と透明性を確保するため、親権者の同意がない場合などに、児童相談所長が保護開始前または開始後7日以内に裁判官へ「一時保護状」の請求を行い、裁判官が要件を満たすか審査するものです。
- これにより、行政による親子分離の判断に司法が介入し、子どもの権利保護強化と、保護者とのトラブル防止が期待されています。
スポーツ少年団・部活動への影響とリスク管理
スポーツ少年団や部活動における体罰は、もはや「熱心な指導」とはみなされず、「刑法上の犯罪(暴行・傷害)」および「人権侵害(ハラスメント)」として、極めて厳しく扱われます。
1. 「指導」と「暴力」の境界線は消失した
かつては「愛の鞭」「気合を入れる」として黙認されがちでしたが、現在、法的な解釈は明確です。
- 家庭外での体罰
- スポーツ少年団の指導者(コーチ・監督)による体罰は、親権者ではないため「懲戒権」の議論すら生じません。したがって、殴る・蹴る等の行為は直ちに刑法上の「暴行罪」または「傷害罪」に該当します。
- 社会的合意の形成
- 今回の改正手引きでも、「『しつけ』や『指導』という名目での暴力・性暴力は、家庭内外問わず許されないという社会的合意が形成される」と明記されました 。つまり、「スポーツの現場だから特別」という理屈は通用しません。
2. 日本版DBS(令和8年12月施行予定)の対象領域へ
今回の手引き改正は、家庭内虐待への対応ですが、これは「家庭外(学校・習い事)」での性暴力等を防ぐ日本版DBS(こども性暴力防止法)とセットで運用されるものです 。
- スポーツ少年団への影響
- 日本版DBSは、学校や保育所だけでなく、民間の学習塾やスポーツクラブなども認定対象となる見込みです 。
- これまでは「体罰でチームを辞めさせられたコーチが、隣のチームで指導を続ける」ことが可能でしたが、今後は「不適切な指導歴(特に性犯罪等)」がある人物が、子どもに関わる業務に就けなくなる仕組みが強化されます 。
3. 「安全配慮義務違反」という事業者リスク
- 運営者(団長や法人代表)様に特に注意していただきたいのが、民事上の損害賠償リスクです。
- 指導者が体罰を行った場合、その指導者個人だけでなく、運営団体も「安全配慮義務違反」や「使用者責任」を問われる判例が定着しています。
- SDGsの観点からも、暴力的な指導を放置する団体は「コンプライアンス欠如」とみなされ、地域社会やスポンサーからの信頼を失い、存続できなくなります。
まとめ:運営者が今すぐやるべきこと
スポーツ少年団の現場では、以下の対応が急務です。
今回の手引き改正は、「大人が子どもをどう扱うか」という社会全体のルール変更です。スポーツの現場も例外ではありません。
- 「指導ガイドライン」の策定と周知
- 「どこからが体罰か」を明文化し、ボランティアコーチを含む全員に署名させる(予防法務)。
- 保護者との連携
- 「厳しい指導」を望む保護者に対しても、法的なNGライン(暴力禁止)を説明し、理解を得る。
- 相談窓口の設置
- 子どもや保護者が、チーム内で孤立せず相談できるルート(第三者委員など)を作る。
中学校や高校の部活動度はどういう扱いになるのか
学校の部活動(学校教育の一環)には「学校教育法」という強力な法律が適用されるため、法的責任の重みはさらに増します。
今回の『子ども虐待対応の手引き』改正(令和7年12月)と、関連する動きを踏まえた重要ポイントは以下の3点です。
1. 「指導」ではなく「法律違反」として即処分
学校の先生(教員)による体罰は、学校教育法第11条で「絶対に」禁止されています。 かつては「熱血指導」として処分が軽くなることもありましたが、現在は以下のように厳格化されています。
- 懲戒免職の可能性
- 体罰により生徒が怪我をした場合、公立学校であれば地方公務員法に基づき、停職や懲戒免職(クビ)を含む重い処分が下されます。
- 「暴言」もアウト
- 手引き改正でも強調されている通り、「心理的虐待(暴言、無視、人格否定)」も虐待認定されます。部活動における「死ね」「辞めろ」といった発言は、不適切指導として行政処分の対象となります。
2. 学校と児童相談所の「情報共有」が義務化へ
今回の手引き改正の大きなポイントは、学校と関係機関の「情報の壁」が取り払われたことです。
- 隠蔽は不可能
- 改正手引きでは、子どもの安全確保のために、学校・警察・病院などが「守秘義務の例外」として情報を積極的に共有することを求めています 。
- 「部活内の恥だから」と学校内で問題を揉み消すことは、手引き違反であり、組織的な隠蔽として厳しく追及されます。
- 日本版DBSとの連動
- 令和8年(来年)施行予定の日本版DBSは、まさに「教員・指導員」を対象とした制度です 。
- 部活動で性暴力や重大な虐待を行った教員は、将来にわたり子どもに関わる職業(学校、学習塾、保育所など)に就けなくなる仕組みが完成しつつあります。
3. 「部活動の地域移行」と新たなリスク
現在、公立中学校を中心に「部活動の地域移行(民間委託)」が進んでいますが、これにより責任の所在が変化しています。
- 外部指導員(民間コーチ)の場合
- 教員ではない外部指導員が体罰を行った場合、学校教育法ではなく、民法上の「不法行為責任」や刑法上の責任がダイレクトに問われます。
- 契約解除のリスク
- 自治体や学校との契約において「コンプライアンス遵守」が必須条件となります。
- 体罰の発覚は契約の解除および損害賠償請求のリスクが高まります。
【SDGs視点】勝利至上主義からの脱却
SDGsゴール16(平和と公正)およびゴール4(質の高い教育)の観点から、部活動の在り方も問われています。
- 勝利至上主義の限界
- 「勝つためには殴ってもいい」という考え方は、SDGsが目指す「持続可能な社会」とは相容れません。
- 心理的安全性
- 恐怖で支配するのではなく、生徒が主体的に考え、意見を言える環境(心理的安全性)を作ることが、結果としてパフォーマンス向上につながるという科学的データも広まっています。
まとめ:保護者と学校が知っておくべきこと
部活動は「聖域」ではありません。
- 保護者の方へ
- 「先生の指導だから」と我慢する必要はありません。
- 違和感があれば、学校の相談窓口や外部機関(189等)へ相談することは、正当な権利行使です。
- 学校・指導者の方へ
- 「昔はこうだった」は通用しません。
- ご自身の身を守るためにも、怒鳴る・叩く以外の「科学的・対話的なコーチング手法」へのアップデートが不可欠です。
ジブンゴト化するために
「虐待はニュースの中の話」ではなく、身近な問題として捉える視点です。
- 死角をなくす
- 家では「手引き」が、学校・習い事では「DBS」が機能することで、こどもの逃げ場のない状況を減らします。
- 大人の意識改革
- 「しつけ」や「指導」という名目での暴力・性暴力は、家庭内外問わず許されないという社会的合意が形成されます。
- 「孤立」を防ぐアクション
- 虐待の背景には「孤立」があります。近所の親子に挨拶する、悩んでいそうな親の話を聞くといった小さな関わりが予防につながります 。
- 虐待の背景には「孤立」があります。近所の親子に挨拶する、悩んでいそうな親の話を聞くといった小さな関わりが予防につながります 。
- 「通告」=「処罰」ではないと知る
- 「189(いちはやく)」への通告は、親を警察に突き出すことではなく、「その家庭に支援を届けるきっかけ」です。通告への心理的ハードルを下げることが重要です。
- 「189(いちはやく)」への通告は、親を警察に突き出すことではなく、「その家庭に支援を届けるきっかけ」です。通告への心理的ハードルを下げることが重要です。
- ヤングケアラーへのまなざし
- 「家事を手伝う偉い子」と美談にするのではなく、「こどもらしい時間を奪われていないか?」という視点を持つことが求められます。
- 「家事を手伝う偉い子」と美談にするのではなく、「こどもらしい時間を奪われていないか?」という視点を持つことが求められます。
SDGs17ゴールとの関連性
この手引きの改訂は、以下のSDGsゴール達成に直結します。
- 【ゴール16:平和と公正をすべての人に】
- ターゲット16.2「こどもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する」に直接貢献します。
- ターゲット16.2「こどもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する」に直接貢献します。
- 【ゴール1:貧困をなくそう】
- 経済的困窮は虐待のリスク要因の一つです。貧困家庭への支援とセットで虐待予防に取り組む姿勢が示されています。
- 経済的困窮は虐待のリスク要因の一つです。貧困家庭への支援とセットで虐待予防に取り組む姿勢が示されています。
- 【ゴール5:ジェンダー平等を実現しよう】
- DV(配偶者暴力)と児童虐待の密接な関連が指摘されており、女性支援とこども支援の連携が強化されています。
- DV(配偶者暴力)と児童虐待の密接な関連が指摘されており、女性支援とこども支援の連携が強化されています。
- 【ゴール3:すべての人に健康と福祉を】
- 特定妊婦への支援や、親のメンタルヘルスケアなど、親子の心身の健康を守る取り組みが含まれます。
- 特定妊婦への支援や、親のメンタルヘルスケアなど、親子の心身の健康を守る取り組みが含まれます。
まとめ:子育ては「個人の責任」から「社会の責任」へ
今回の『子ども虐待対応の手引き』改正で最も伝えたかったことは、国や自治体が「こどもの権利」を真ん中に据え、本気で守ろうとしている姿勢です。
しかし、どんなに立派な手引きができても、それを動かすのは私たち「人」です。
「しつけ」と称した体罰が法律で禁止された今、私たちに求められているのは、親を追い詰めることではなく、「助けて」と言える環境を作ることです。
もし、近所で気になる親子がいたら、挨拶を交わすだけでも立派な支援です。もし、あなた自身が子育てに限界を感じたら、迷わず役所や相談窓口(189)を頼ってください。
今回の改正で、市町村は「身近な相談相手」としての役割を強化しています 。
虐待防止は、誰かを監視することではなく、親子が孤立しないよう社会全体で手をつなぐこと。
この新しい手引きが、すべての子どもと家庭にとっての「お守り」になることを願っています。

