2026年(令和8年)1月1日、改正行政書士法が施行されました。施行から約3週間が経過しましたが、現場では依然として「何がアウトで、何がセーフか」の混乱が続いています。
今回の改正の核心は、「報酬」の解釈の厳格化と、法人に対する「両罰規定」の導入です。
これまでの業界慣行が、今日からは「刑事罰の対象」となるリスクを孕んでいます。
各業界が直面している具体的なリスクと、今すぐ取るべき対策をFAQ形式で解説してみようと思います。
【最新情報】日本行政書士会連合会が示した「違法事例」の詳細
令和7年12月24日、日行連より自動車販売業界に向けた「行政書士法違反になる例」が具体的に示されました 。
これまでグレーゾーンとされてきた行為について、明確に「アウト」の線引きがなされています。
特に注意すべき「アウト」な具体例:
- 「無料サービス」は免罪符にならない:
- 書類作成代を無料に設定していても、車両代金や整備代金に実質的な報酬が含まれていると判断されれば違反となります 。
- 社内データベースの利用:
- 自社の顧客・車両データベースから申請書を自動出力して作成することも、実質的な報酬(車両代金等)を得て書類を作成しているとみなされます。
- 窓口での「その場の修正」も禁止:
- 警察署や運輸支局の窓口で、職員から『ここだけ追記して』と言われて車台番号を書き足したり、印鑑を押し直したりする行為」は、たとえ親切心であっても行政書士法違反となります。
- 住民票の代行取得:
- お客様に代わって住民票を取りに行く行為も、申請書類の作成・提出に付随するものとして違反となり得ます。
- オンライン(OSS)申請の配置図:
- OSS申請であっても、車庫証明に必要な「配置図」を販売店側が作成することは行政書士業務の侵害にあたります 。
「使者(ただ届けるだけ)」の限界
茨城県行政書士会の見解では、本人が作成した書類を単に「持参するだけ」の行為自体は直ちに違法ではありません 。
しかし、窓口で不備が見つかった際に一切の加筆・修正ができないため(日付や車台番号の追記も不可)、結果として手続きが停滞し、顧客に多大な迷惑をかけるリスクがあります 。
出典・参照元
日本行政書士会連合会「自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」(令和7年12月24日付)
茨城県行政書士会 運輸交通部「『自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例』に寄せて(改訂稿)」(令和7年12月25日改訂)
自動車販売・整備業界
Q:車両販売時の「登録代行手数料」として費用をいただき、自社で書類作成しても良いですか?
A:原則として「違法(行政書士法違反)」です。
- 改正法により、「名目を問わず、実質的に対価性があれば報酬とみなす」ことが明文化されました。
- サービスの一環として諸費用に含めていても、無資格者が作成すれば処罰の対象となり得ます。
Q:顧客から委任状をもらっていれば、従業員が作成しても良いはずでは?
A:いいえ、作成できません。
- 委任状はあくまで手続きの代理権を証明するもので、資格不要を意味するものではありません。
- 無資格の従業員ができるのは、完成した書類を届ける「使者」の業務までです。
【重要】
日本行政書士会連合会より公表された「違反となる具体例」令和7年12月、日本行政書士会連合会(日行連)より、自動車販売会社が特に注意すべき「行政書士法違反となる可能性が高い事例」が明示されました 。
これまで「業界の慣習」として行われてきた以下の行為は、今後は明確に刑事罰や両罰規定(法人への罰金)の対象となるリスクがあります 。
- 「無料サービス」でもアウト
- 書類作成費用を無料としていても、車両代金や整備代金等に対価が含まれていると評価されれば違反となります 。
- 自社データベースの利用
- 顧客情報や車両情報のデータベースを用いて申請書を作成する行為も、業としての作成(報酬の対価性あり)とみなされます 。
- 窓口での「訂正・追記」の禁止
- 警察署や運輸支局の窓口で、職員から求められた場合であっても、行政書士でない者がその場で車台番号を追記したり、内容を訂正・補正したりする行為は違反です 。
- 住民票等の代行取得
- 申請者に代わって住民票を取得する行為は、官公署に提出する書類の作成・提出に該当し、違反となる可能性が高いとされています 。
- OSS申請時の「配置図」作成
- オンライン申請(OSS)であっても、車庫証明の配置図を販売店が作成する行為は行政書士業務の侵害にあたります 。
出典・参照元
日本行政書士会連合会「自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」(令和7年12月24日付)
茨城県行政書士会 運輸交通部「『自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例』に寄せて(改訂稿)」(令和7年12月25日改訂)
「使者(届けるだけ)」なら大丈夫?
茨城県行政書士会の見解によれば、本人が作成した書類を単に「持参するだけ」の行為自体は直ちに違法ではありません 。
しかし、窓口で不備が見つかった際に一切の訂正・追記ができないため、結果として手続きが停滞し、顧客に不利益を与えるリスクが非常に高いと警告されています 。
また、車検(継続検査)に関しても、今後は行政書士が関与していることを明示する運用(代理人欄への記名など)が望ましいとされています 。
日本行政書士会連合会発出文書「自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」(令和7年12月24日) および茨城県行政書士会 運輸交通部による補足解説(改訂稿) に基づき作成しています。
補助金・経営コンサルティング業界
Q:コンサル料の中で、補助金の申請書を代行作成できますか?
A:書類の「作成」まで踏み込むと、極めて高い違法リスクがあります。
- 今回の改正は、コロナ禍以降に急増した「無資格コンサルによる不適切な申請」を根絶する狙いがあります。
Q:顧客のIDとパスワードを預かって、代わりにオンライン申請をするのは?
A:非常に危険な「潜脱行為」です
- 本人のふりをして入力・送信を行うことは、改正法の趣旨(誰がデータを作成したかの透明性)に反し、行政書士法違反として摘発されるリスクがあります。
- 摘発対象になりやすいため、即刻中止し、作成支援(アドバイス)に留めるべきです。
人材紹介・外国人雇用支援業界
Q:支援委託費の中で、在留資格の申請書類を代行作成できますか?
A:行政書士法違反となります。
- 在留資格申請は、申請取次行政書士等の独占業務です。
- 人材紹介業務の付随業務として扱うにはリスクが大きすぎます。
- 社内に行政書士を配置するか、外部専門家との適正な連携が不可欠です。
不動産業界
Q:管理物件のテナントのために、飲食店営業許可を無料で作成してあげても良いですか?
A:管理料(顧問料)が発生している場合、実質的な報酬とみなされます。
- 「無料でサービスしている」つもりでも、継続的な取引関係の中では対価性が認められる可能性が高いです。
その他
Q:従業員が勝手に行った無資格業務で、会社(法人)も罰せられますか?
A:はい、罰せられます(両罰規定)。
- 改正により両罰規定の適用範囲が拡大し、従業員が業務制限違反などを行った場合、その個人だけでなく法人に対しても最大100万円の罰金刑が科される可能性があります。
Q:障害福祉の「指定申請コンサル」に書類作成を頼んでも大丈夫ですか?
A:行政書士資格がないコンサルタントへの有償依頼は違法です。
- 報酬には「会費」や「支援費」といった名目も含まれるため、無資格者が作成した書類で申請を行うと、後に指定取り消しや過誤返還などの重大なトラブルに発展するリスクがあります。
Q:運送業の許可申請で、トラック販売店が「サービス」で図面を引くのは?
A:有償の車両販売とセットであれば、実質的な「報酬」を得ているとみなされるリスクが極めて高いです。
営利法人が重い事務コストを完全に無償で負担し続けることは経済合理性に欠けると判断され、当局から厳しくチェックされる対象となります。
貴社の「信頼」を守るための3ステップ
- 現状の棚卸し:
- 官公署に提出する書類のうち、社内で作成しているものをすべてリストアップする。
- 業務スキームの再構築:
- 「作成は行政書士、コンサルティングは自社」という、法令に則った役割分担を契約書レベルで明確にする。
- コンプライアンスのSDGs化:
- 法令遵守を「守り」ではなく、持続可能な経営を実現するための「攻め」のブランディングとして活用する。
行政書士・SDGsコンサルタントからのメッセージ
コンプライアンスの欠如は、一瞬にして企業の歴史を終わらせるリスクを持ちます。
一方、正しく法を遵守することは、取引先や顧客からの絶大な「信頼」につながります。
「業務スキーム・リーガルチェック」実施中
貴社の現在の契約書や請求名目、業務フローが改正法に抵触していないか、行政書士・SDGsコンサルタントの視点から無料で簡易診断いたします。
「知らぬ間の違法のリスク」が発覚する前に、まずは現状を整理してみませんか?
「今の業務フローは法的に大丈夫か?」
という診断から、法令遵守に基づいた新しいビジネスモデルの構築まで、当事務所が全力でサポートします。
※個別具体的な判断については、当事務所へ個別にご相談ください
免責事項
- 情報の正確性について
本記事の内容は、2026年1月時点の「行政書士法」および関連法令、公表されている指針等に基づき、細心の注意を払って作成しております。しかしながら、法令の解釈や運用は行政庁や時期によって異なる場合があり、その完全性や正確性を永久に保証するものではありません。- 法的助言の否定
本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、特定の個別案件に対する法的助言(リーガルアドバイス)を構成するものではありません。個別の事案については、必ず当事務所または管轄の行政窓口、その他の専門家にご相談ください。- 責任の限定
本記事に掲載された情報を用いて利用者が行った一切の行為、およびそれによって生じた損害(直接・間接を問いません)について、当事務所は一切の責任を負いかねます。情報の利用は、利用者自身の判断と責任において行ってください。- 内容の変更・削除
本記事の内容は、予告なしに変更または削除されることがあります。また、時間の経過により掲載情報が最新の法令・実務と合致しなくなる場合がありますので、あらかじめご了承ください。- 著作権について
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