福島県いわき市の大内法務行政書士事務所、代表の大内です。 2025年8月、アメニティいわきグループ様にて「SDGs宣言書の具体化」をテーマにした社員研修会を開催しました。
多くの企業様から「SDGs宣言策定までは行ったが、その後どうすればいいかわからない」というご相談をいただきます。今回は、宣言書を単なる「掲示物」で終わらせず、現場の行動指針へと落とし込むための実践的なワークショップの様子をお届けします。
アメニティいわき様は福島県中小企業家同友会いわき支部の会員仲間です。
なぜ「宣言書」を作っただけで満足してはいけないのか?
「SDGs宣言書の作成」そのものがゴールになってしまっているケースは少なくありません。しかし、実態を伴わない宣言は、経営上のリスク要因にもなり得ます。
SDGs宣言書の作成だけで終わってしまうことは、単なるアピールにとどまり、企業の信頼や成長機会、社内変革といった重要な側面を損なう原因となります。
形式だけの宣言が招くリスク
- SDGsウォッシュ(見せかけ)の批判
- 実態がないのにアピールだけを行うと、消費者や取引先から「SDGsウォッシュ」と見なされ、かえって企業への信頼やブランドイメージを損なう恐れがあります。
- ビジネスチャンスの喪失
- サプライチェーン全体でサステナビリティが求められる今、実効性のある取り組みがない企業は、取引先や投資家から選ばれなくなる可能性があります。
- 社内モラルの低下
- 「経営陣が何か言っているだけ」と捉えられ、社員のしらけムードを招きかねません。
- 具体的な行動や目標設定がないと、社内での理解やモチベーションが高まらず、変革や社員の意識改革が実現できない恐れがあります。
- 効果測定・改善活動が不可能
- 目標や進捗の設定・評価がなければ、成果の把握や改善活動ができず、持続的な取り組みに不可欠な「実践・報告・改善」のサイクルが確立できないことにつながりかねません。
- コンプライアンスや説明責任のリスク
- 実態と異なる内容は社会的な批判や法的リスクを招きます。虚偽や誇張が含まれると、誤った情報発信と見なされさらに信用を損なう恐れがあります。
SDGs宣言書を具体化できない理由がある?
- 具体的なアクションや目標がない、不明確。
- 自社の課題や強みへの落とし込みをしています、できない。
- 社内浸透や教育が不十分のため形骸化している。
- 宣言書からの数値目標や進捗管理がない、していない。
- SDGs宣言そのものを企業PRやCSRの一環としか考えていない。
- SDGs取り組みの優先度が低いく、経営課題として本質的に位置付けていない。
このような特徴が強いと、「SDGsウォッシュ」(見せかけだけで実効性のない取り組み)と受け止められ、企業の信頼性やブランド価値の低下、社会的な機会損失につながるリスクが高くなります。
アメニティいわきグループ様での「具体化」ワーク

昨年作成したSDGs宣言書をベースに、以下のステップで「自分事化」を図りました。
- 宣言内容から自分の部署に関係しそうな内容を選ぶ。
- 担当者の名前を書く。
- 目標内容を書く。
- これからどうするかを書く。
- できるところまでやってみる。
- 上司や仲間と話し合ってみる。
- わからないことを明確にしておく。

SDGs宣言書を具体化することの意義
単なるアピールではなく、企業の持続可能な発展・経営戦略の軸として大きな意義があり、様々な効果が期待できます。
- 企業の意思表示と信頼性向上
- 社員の意識向上と一体感
- 企業イメージ・ブランド価値の向上
- 持続可能な経営と新たなビジネスチャンス
- リスクマネジメント強化
- 宣言内容の具体化は実効性と信頼性の鍵
具体化で社内行動はどのように変わるか
宣言書の具体化することにより、社内日常行動の指針となり、社員全体を巻き込んだ一体感や自律的な行動転換を生みます。
結果として、SDGsが単なる理念でなく「実際の行動」に反映され始めます。
- 業務にSDGsを組み込む意識の定着
- 部門ごと・個人ごとに役割が明確化
- 社内プロジェクトや横断的なチーム活動の活発化
- 社員の意識改革・モチベーション向上
- 進捗管理・定期的な評価サイクルの定着
SDGs宣言の具体化は従業員の意識改革だけでなく、エンゲージメント向上を促し、その結果として働きがいの向上や企業の持続的な成長に結びつきます。
参加社員様からの「現場の気づき」
研修後の振り返りでは、非常に本質的な意見が挙がりました。
SDGs宣言書への理解が深まった
- 自分たちの部署が宣言書にどのように関わっているかを深く知る機会となった、この研修がなければ、漠然とした理解のままだった。
- 他の部署の取り組みについて知ることもでき、非常に有益だった 。
SDGsの目標設定について
- SDGsには17のゴールのターゲットを参考にすることで、より取り組みやすくなる。
- 目標を数字やスケジュールで設定することが重要である 。
具体的な目標や担当者の不明確さ
- 宣言書の項目に対する具体的な目標や担当者が明確になっていなかったり、漠然と当てはまっているだけだと感じた部分もあった 。
- 担当者や具体的な取り組み内容は知っていても、どのような目標のもとで活動しているかが不明確だったため、今回の研修でこの点がはっきりしたことは良かった 。
全社員への周知不足
- 管理職やSDGs宣言書作成の取り組みに関わっている特定の人以外で、宣言書の内容を知っている人が少ない。
- 誰に聞かれても全員が回答できる状態にしたい。
- この勉強会に研修に参加していない各課の上司との間で意識のずれが生じる可能性があり、フォローしていく必要性を感じた 。
宣言書の更新と活用
- 現状の宣言書をアップデートし、より分かりやすく、実践的な内容にしたい 。
- 更新した内容は、誰が見ても分かりやすいように共有したい 。
今後の改善策と取り組み
- 目標の明確化と担当者の設定
- 環境課の10項目をリニューアルし、目標を数値やスケジュールで作成してみる 。
- 各自の取り組みに対して担当者を決める 。
- 新人教育と人材育成
- 新入社員を積極的に担当にすることで、個々のレベルアップや自信につなげ、質の良い教育を進めていきたい 。
- 具体的な行動への移行
- 宣言書の内容をさらに掘り下げ、ターゲットを絞り込み、自信を持って発信できるレベルを目指していく 。
- まずは「できること」や「変えられること」を見つけることに注力したい 。
- 組織的な取り組み
- 無事故継続カレンダーを作成する 。
- 当たり前になっている業務も改めて見直すことで、新たな発見や課題を見つけ、取り入れていく 。
- 研修で学んだことを活かし、皆で学んでいくことで会社の強みにしたい 。
今回のSDGs研修での皆さんの振り返りから、SDGs宣言書への理解を深める良い機会となり、また多くの課題を明確にできたことが伝わってきました。
特に、以下の点について感謝いたします。
- 宣言書の深掘りへの意欲
- 「宣言書を深掘りして、どう関わってどのような目標の元行動しているのか曖昧なままだった」という率直な意見や、「今回の研修で学んだことをしっかり理解し、勉強していきたい」という前向きな姿勢に、このテーマで研修を開催した意義の大きさを感じています 。
- 具体的な課題の発見
- 宣言書に対し「担当者や目標が定まっていない」、「全社員に詳細を周知できていない」といった具体的な課題が、皆さん自身の言葉で挙げられたことに感銘を受けました。
- 未来に向けた提案
- 宣言書を「より明確に更新し、全社員がどのような取り組みを行っているかが分かるように具体化を進めていきたい」というご提案や、「新入社員に担当させるメリット」を積極的に取り入れるというアイデアは、今後の活動の大きなヒントになります。
【総括】SDGs宣言の「アップデート」が会社を強くする
アメニティいわきグループ様の素晴らしい点は、課題を「できない理由」にするのではなく、「未来への改善点」として捉えていることです。
- 「環境課の10項目をリニューアルし、数値目標を入れる」
- 「新入社員を担当に任命し、人材育成につなげる」
- 「無事故継続カレンダーなど、当たり前の業務を見直す」
こうした現場からの自律的な提案こそが、SDGs経営の核心です。 宣言書を具体化し、PDCAを回すことは、単なる社会貢献ではありません。社員のエンゲージメント(帰属意識)を高め、企業の持続可能な成長戦略を強固にする「経営の実践」そのものです。
この研修は、皆さんが自社の強みを見つけ、成長していくための第一歩です。
意識の高い皆さんなら、今回見つかった課題を乗り越え、宣言書のアップデートを行い、最終的に会社全体のレベルアップにつなげられるものと確信しております。

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