11月12日金曜日に相馬市のN-resort Fukushimaさんを会場に開催されました。
~今が決断の時!我らが打つべき次の一手!!~
記念講演
「アフターコロナ、中小企業が生き残るために何をすべきか」~里山資本主義から学ぶ次の一手~
藻谷 浩介 氏 (株)日本総合研究所 主席研究員
さすがメディアに引っ張りだこの方。
時間を忘れ引き込まれる内容でした。
今週も全国各地を講演で飛び回っているそうです。
分科会は5つ
私は第3分科会を担当させていただきました。
第1分科会「経営指針」
『今こそ経営指針を創り、逆境に強い会社を創ろう』
報告者:菊地逸夫さん フレスコ(株) 代表取締役会長[相双支部]
第2分科会「社員共育」
『社長の自己革新は、最高の社員共育!』
報告者:齋藤一成さん フジモリ機工(株) 代表取締役 [いわき支部]
第3分科会 「SDGs」
『我らが打つべき次の一手として、SDGsを知り、その実践方法を学ぼう!!』
報告者:大内 政雄さん 大内法務行政書士事務所 代表 [いわき支部]
- 室 長:株式会社立川鋸商会の立川社長
- 座 長:株式会社リビングソーラーの小野社長
- 記録担当:W&Lコンサルティング社労士事務所の菊地代表
- 担当局員:いわき支部の阿部雄飛さん
4名の皆さんとは2年前にいわき支部で設立したSDGsの研究グループで普段から一緒に何んでいる仲間です。
数カ月前からいろいろとサポートいただき本当にお世話になりました。
木材加工会社向けの大型鋸刃の製作や再研磨をメインに行う環境に優しい会社です。
立川社長もお若く事業成長に大変前向きです。
以前より環境委員会で一緒に活動しており、真面目で誠実な人柄に惹かれています。
今年は例会委員長として毎月がんばっておられる姿に敬服しています。
6月の例会では私にSDGsに話をしてほしいと依頼があり務めさせていただきました。
現在はSDGsの研究グループに参加してくださっています。
太陽光発電設備の販売、設置、維持管理を行う会社で、福島県内では有数の会社です。事業を通じて寄付活動や支援活動も行っています。
SDGsにも積極的に取り組んでおり、社内で数度にわたりカードゲームを開催したり、取引先に対してSDGsの講話をするなど啓蒙活動も行っています。
もともと私がSDGsに踏み込むきっかけを与えてくださったのも、こちらの代表取締役の小野社長です。
中小企業家同友会では環境委員会で長年ご一緒しておりました。その中で徐々に環境問題やゴミ問題について私の意識が高まってきたように感じています。
代表取締役の小野信彦さん。磐城高校柔道部OBです。
社会保険労務士の菊地さんとは同じ「士業仲間」。
中小企業家同友会入会時よりいろいろな活動を共にしてきた同士の一人です。
政策提言委員会の時には、いわき市中小企業・小規模企業振興条例の制定の年でもあり、いわき市による補助金や政策制度の勉強会の開催、女性活躍推進企業認証のお手伝いなどを共に行いました。
心が折れそうな時に相談して元気をもらっています。
仕事の相談やご紹介などを通じての、正しく誠実な仕事ぶりや明るい人柄などに惹かれ、最も信頼している方です。
参加者の中に高校野球部の後輩が。。。
57回卒の大越さん。
数日前に突然DMがあり、地元いわき市に住みながらSDGsに関連したサイトの運営をしているとのこと。
スペースシップアースというサイトです。
こちら
私も情報収集で頻繁に見ていたサイトなので驚きでした。
まさか高校野球部の仲間とSDGsの会話をするなんて・・・・
その後Zoomで会話しとんとん拍子に今回の大会に飛び入り参加です。
心に余裕がなく、ツーショット写真撮りそびれました。大後悔です。
第4分科会「地方創生(移動分科会)」
『浜の駅松川浦の挑戦』
相双地区の漁業の現状、開業までの経緯、現状とこれからの展開についての講演と施設の視察。
主な見学先:相馬双葉漁業協同組合、浜の駅松川浦
第5分科会「革新指向(移動分科会)」
『世界を創る・次なる一手』
福島ロボットテストフィールドの見学
ドローンを用いた空中監視システムのデモンストレーション
第3分科会のご報告
サポートメンバーの皆さんとの直前打ち合わせ、資料配布、パワーポイント資料の接続確認を行い準備が整いました。
小野さんから概要説明(右画像)
ワークを2回行います
中小企業家同友会とSDGsの親和性
経営指針とSDGs
経営指針をSDGsとつなげてみるメリット
- 未来の自社の方向性をSDGsの共通言語で表現できることにより
- 様々なステークホルダーとの対話が促進される。
- 自社の経営理念を外部に伝えやすくなる。
- 従業員のSDGsの理解を深めるきっかけになる。
企業存続のリスク?
最近では「SDGsに取り組まないことは人権問題を軽視している」という評価となり、想像以上に企業イメージが大きく損なわれる危険性があります。
ワーク①
- 自社のSDGsの現状を知る
- SDGs導入のチェックポイント
- 実施できていた項目
実施している具体的な内容 - 実施できていなかった項目
実施できていない理由 - 今後実施していくために話し合ったこと
課題や障害
具体的な実施計画
報告内容・質問事項など(抜粋)
- 自社のレベルが追いついていない。
- 頭では理解していると思っていたが。
- 自社の仕事に落とし込めていない。
- 社員にどう理解させるか。
- ターゲットごとに「やれること」を探していきたい。
- これまでやっていることが実はSDGsに関連したことだった。
SDGsの他社事例
全国の中小企業家同友会の会員企業の事例をお話しさせていただきました。
こういう全国同友会企業の情報が入手できることは、同友会会員であることの最大のメリットのひとつですね。
何と言ってもすばらしいことは
- SDGsと事業をつなげている
- SDGsを通じて社員教育
- 地域との交流に活用
かなぁと思います。
SDGsの具体的な進め方
SDGsの進め方に関しての手引きやマニュアルのなかで、私の一番のおすすめはこちらです。
- SDGsの正しい知識を得る。まずはこれが大事です。
- その後に「SDGsの訓練の一つ」として、現状をSDGsのゴールで紐付けしてみることです。
現状をSDGsにつなげて終わっている例が多く見られます。
これまでの事業がSDGsにつながっていることを確認したことは、SDGsを自社に導入するための最初のトレーニングのひとつです。
SDGsを知っている人が見れば、まさにSDGsウォッシュ。
「うわべだけのSDGs」と言われかねません。
SDGsは未来の羅針盤?
取引先、金融機関からの評価だけでなく、従業員のモチベーションが確実に向上します。
ワーク②
- 自社事業内容や活動をSDGsとの紐づけ体験
- 紐づけ体験をして得られたことを話し合う
10月に会津美里町で行ったマッピングのワークショップの事例などもお話しさせていただきました。
民間企業とは異なる部分もありますが、町の計画をSDGsの視点で見てみることで気づくこと、多様な階層の参加者同士がSDGsのテーブルの上で町の未来の対話をすること自体の大切さをお話しさせていただきました。
会津美里町のSDGsを推進している団体
- SDGs視点でみた事業について
- 現在の取り組み状況について
- 未来の優先度(2030年以降)について
報告内容・質問事項など(抜粋)
- SDGsには正の貢献部分と負の影響部分があり、負の部分をどう減らすかも大切であることがわかった。
- 今日学んだことを社内でどう伝えたらいいか。
- 自社で内製化してSDGsのゴールにつなげられそう。
- 農家でこれまで廃棄していた作物を使って商品を開発していることがSDGsのひとつだと初めて知った。
- 2015年9月以前の活動をSDGsと繋げることがダメな理由はなぜか。
- なぜSDGsと公表することが大切なのか。
- リモートワークも立派なSDGs。
- トレードオフを意識した目標を立てていきたい。
優先的取り組み事項の決定方法(例)
- 紐づけられるゴールの多いもの
- 実施した場合の効果が一番大きいもの
- 実施するための前提条件や課題が少なさそうなもの
- 実施することで起きそうな新たな問題が少なさそうなもの
- かかりそうな費用が多くないもの
正解はひとつではありません。
会社の状況、業界環境、資源内容、目指すべき方向性・・・
SDGsを実施する際に陥りやすい(例)
- 知識が不充分
- 目標が現実的
- CSRとの混同
- 正しい情報公開
- 決定後の運用体制
SDGsは作って終わりではありません。むしろ活動を開始してからのほうが重要です。
会社の中身を知る第三者や専門家のサポートを定期的に受けることをおすすめします。
その他 SDGsを進めるうえで注意すべきこと
トレードオフへの配慮
- 両立しえない関係性、何かを選ぶ際に他の何かを犠牲にする状況。
- 2つの物事がある状態で1つを選択すれば他方が成り立たない状態や、一方が得をすれば他方は損をしてしまうというような状態や状況。
トレードオフの(例)
- 高齢者への福祉を優先して政府の予算を使うと若者の教育のための予算が減る。(逆も同じ)
- 交通利便性を向上させるための取組みが、一部の自然環境や生態系に負荷をかける可能性がある。
- 価格の高いモノは消費者の満足度は高くなるが、消費者の経済的負担が大きくなる。
- 趣味や遊びに時間を使えば、楽しくて充実した時間を過ごせるが、お金は稼げない。
- 長時間仕事をすれば、つらくて苦しい時間だが、お金を稼ぐことができる。
- 小さいサイズのモノは、持ち運びや使い勝手は便利ですが、容量が少ない。
- 高性能な機械類は使いやすいというメリットがあるが、高価格で広い場所が必要になる。
- 精密機械類は同じスペックであれば小さなサイズほど使いやすいが高価。
SDGsのあるゴールに貢献することが別のゴールではマイナスの影響を及ぼすことがないか、ある場合にはいかにして最小限にするかを考えて対策をすることが大切になります。
SDGsウオッシュ
- SDGsのメリット(社会的信用など)を得るために「SDGsに真剣に取り組んでいないのに、取り組んでいるフリをすること」「うわべだけのSDGs」
- 「言っていること(広告・PR)とやっていること(取り組みの実態)が乖離している状態」
疑わしい代表的な(例)
- 取り組み目標が「2015年9月以前」から活動している。
- 2015年9月以降に始めたものであっても、もともとはSDGsを意識したものではなかった。
これはSDGsタグ付けと呼ばれ「後付け」「上塗り」したものです。
- 自社のホームページにSDGsに関するコーナーがない。
- 17あるゴールアイコンやSDGsのロゴを表示しているだけ。
- SDGsとCSRをごちゃまぜにして公表している。
- 外見上関係ありそうな自社の製品やサービスに17のゴールを紐付けるだけで済ませてしまう。
- 「環境配慮」から取り⼊れた資材について、リサイクル対応しきれずにそのまま破棄。
- 事業の内容に直接関係のない「グリーンなイメージ(自然の写真や、緑色の包装など)」を使う。
- 製造過程で通常よりも多くのCO2を出すにも関わらず、「天然」または「リサイクル素材」でつくられている、と良い面だけをアピールする。
- 海洋生物、森林資源を守っているとアピールしながら、自社の従業員には低賃金でサービス残業をさせている。
- 具体的な数値目標がない。
- グローバル目標しかなく、自社で管理できる目標がない、少ない。
- 負の影響を減らす目標がない。
- 既に法律で禁止されているものを記載する。
回避策
- 根拠のない事実かどうかわからない情報は入れない。
- 事実より誇張した表現はしない。
- イメージアップの目的や自社と関係性の低い画像を使用しない。
最後に...
福島県全域の中小企業家同友会会員の皆様とSDGsを通じて交流することができ、大変すばらしいひと時でした。
またこの場で報告をする機会を通じて、あらためて私自身のSDGsの地域や理解の再整理をすることができました。
SDGsの学びは
ゴールではなくスタート。
目的ではなく手段の一つ。
です。
これからも研鑽を重ねていきたいと思います。