当初、私が「福島県中小企業家同友会第34期同友会大学」のカリキュラムを目にした時の正直な感想は、「自分の実務とは無関係そうなテーマが多いな」というものでした。
国際政治、土壌学、水産学……。
多岐にわたる専門分野を前に、参加への意欲がどこか消極的になっていたことは否定できません。
しかし、全講義を終えた今、私はその考えが大きな間違いであったと確信しています。
一見バラバラに見える「点」は、
- 「行政書士としての職能」
- 「持続可能なまちづくり」
- 「自分自身の価値観」
という3つの視点で整理することで、これからの時代を生き抜くための鮮やかな戦略へと繋がったのです。
今回のブログでは、各講座のレポートから導き出した「学びの要約」を共有します。
行政書士の視点:法務で支える「企業の再定義」と「攻めの戦略」
行政書士は単なる「書類作成代行」ではありません。各分野の専門知見は、中小企業の持続可能性を支える戦略的パートナーとしての役割を浮き彫りにしました。
- 新産業の「ルールメイキング」支援ニーズの高まり
- 培養魚肉や細胞性食品、あるいは「土壌再生(リジェネラティブ農業)」や「再炭素化」といった新技術の社会実装には、既存の法規制が追いついていないケースがあります。
- こうした分野で、許認可の取得や適切な契約整備、カーボンクレジット活用等の法的支援を行うことは、企業のイノベーションを加速させる重要な鍵となります。
- 経営の強靭化「プランAプラス」
- 国際情勢の不確実性や地政学的リスクを、「もしこの国が有事になったら」という極限のシミュレーションで捉えること。
- これにより、一社依存や単一事業に頼らない、より強靭(レジリエント)な「経営のプランAプラス(代替案以上の強化策)」を提案するためのBCP(事業継続計画)視点を養いました。
- AI活用による「暗黙知」の形式知化
- 経験豊富な実務家のノウハウをAIで抽出・整理する「リバースナレッジ」の手法は、組織の資産継承に直結します。
- 「問いを立てる力」と「意思決定の質」を鍛え、高付加価値なサービスを提供し続ける基盤となります。
- ガバナンスの質的転換と「定款」の活用
- 企業を「社会の公器」と再定義し、その存在意義(パーパス)を定款に明記すること。
- 理念に基づいた制度設計を行うことで、対外的な信頼性を担保し、企業の社会的価値を法的にデザインします。
まちづくりの視点:地域資源を循環させる「自立」の形
自治体関係者様や地域企業の皆様とも共有したいのが、外部環境に依存しすぎない、地域の自立的な持続可能性です。
- 地域資源の「再炭素化」という経済モデル
- 土壌劣化という「環境の赤字」を解消するため、廃棄物を資源として土に戻す「再炭素化(Recarbonization)」の取り組みは、地域内で完結するサーキュラーエコノミー(循環経済)の具体的モデルとなり得ます。
- これはコスト削減だけでなく、新たな地域ブランドの創出にも繋がります。
- 「実証フィールド」としての福島
- 震災後の復興プロセスを、福島国際研究教育機構(F-REI)等の実証研究と連携させることで、世界をリードする知見へと転換できる可能性があります。
- 課題先進地から課題解決先進地へ、福島の自立的発展に貢献する道筋が見えてきました。
- 健康で豊かな中間層の創出
- 地域社会も企業を支える「社中(ステークホルダー)」の一部であると捉え、利益を適切に分配すること。
- 購買力のある豊かな中間層を地域に育成することは、巡り巡って地域企業の持続的な市場確保へと繋がります。
【個人の視点】自然への畏敬とリーダーの覚悟
一人の人間として最も心に響いたのは、科学の最前線にいる学者が発した「生命と土だけは人類には作れない」という言葉でした。
- 「応援」するという謙虚な倫理観
- 46億年の地球史の中で育まれた複雑な自律システムを前に、人間ができるのはその働きを「コントロール」することではなく「応援」することだけです。
- この謙虚さは、SDGs経営における「高潔な倫理観」や「ネイチャーポジティブ(自然再興)経営」の根幹に通じます。
- リーダーの「共有力」と「覚悟」
- 経営とは、全従業員とその家族の生活を背負う「覚悟」です。
- 自社の状況や時代の流れを従業員と徹底的に「共有」し続け、共に自己革新を行うプロセスこそが、組織を強くします。

まとめ:「土壌」を育む経営へ
学びを終えて気づいたのは、「優れた経営とは、土壌を育てることに似ている」ということです。
目先の収穫(短期利益)だけを追い求め、土(組織・社会)を酷使すれば、やがて土地は痩せ衰え、持続不可能な状態に陥ります。
良質な微生物(多様な人材)が活発に活動し、養分が適切に循環する「健康な土壌」を整えてこそ、企業も地域も、時代という嵐を乗り越えて実りをもたらすことができるのです。
一見無関係に見える知識の断片を繋ぎ合わせ、自社のフィールドに「栄養」として取り込んでいく。
そのプロセスこそが、不透明な時代における最大のイノベーションです。
「自社の事業を、社会課題解決とどう結びつけるか?」
「定款や許認可戦略を見直し、守りから攻めの経営へ転換したい」
そのようなお悩みをお持ちの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。
広い視野と法務の専門知識で、御社の「本質的な強さ」を引き出すお手伝いをいたします。
参考ソース
本ブログの内容は、第34期同友会大学における「公益資本主義(丹治幹雄氏)」「土壌学(藤井一至氏)」「国際政治(渡部恒雄氏)」等の講義資料、およびそれに基づく各報告書の内容に基づいています。

