「SDGsに取り組んでも、明日の売上が増えるわけではないだろう?」

企業様へSDGs導入のご提案をする際、経営者の方から最も多くいただくのがこのご意見です。

結論から申し上げますと、そのご指摘は「半分正しく、半分誤り」です。

確かに、SDGsは導入してすぐに現金を生む「魔法の杖」ではありません。

しかし、何もしないことで将来的に失う「機会」や「信用」を防ぐ、極めて重要な「経営リスク管理ツール」なのです。

行政書士およびSDGsコンサルタントの視点から、なぜ今、数字にシビアな企業こそSDGsに取り組むべきなのか、その理由を解説します。

1. SDGsは「売上施策」ではなく「リスク回避施策」である

SDGsを「社会貢献(ボランティア)」と捉えると、コストに見えがちです。

しかし、これを「将来発生しうる損失を防ぐための投資」と捉え直してみてください。

現代のビジネス環境において、SDGsへの未対応は以下の「3つの経営リスク」に直結します。

  • 取引排除のリスク(サプライチェーンからの除外)
  • 資金調達のリスク(金融機関からの評価低下)
  • 人材不足のリスク(採用難・定着率の低下)

これらは、「売上が伸びない」こと以上に深刻な、「事業継続そのものが危ぶまれる」事態を引き起こしかねません。

2. すでに「売上の入口」への影響は始まっている

「うちは中小企業だから関係ない」という考えは、もはや通用しなくなりつつあります。

具体的なビジネスの現場で、すでに選別は始まっています。

① 大手企業との取引(サプライチェーン)

上場企業を中心に、取引先選定の基準として「CSR調達」や「SDGs方針への同意」を必須とする動きが加速しています。

価格や品質が同等でも、環境・人権への配慮が証明できなければ、見積もりの土俵にすら立てないケースが増えています。

② 官公庁・自治体の入札

私たち行政書士が専門とする許認可や入札の分野でも、変化は顕著です。

公共工事や物品納入の入札参加資格において、SDGs認証取得や環境配慮が「加点項目」や「必須要件」となる自治体が増加しています。

【福島県内の事業者の皆様へ:具体的なメリット】

特に福島県発注の建設工事等においては、「SDGs宣言」そのものではなく、SDGsの具体的アクションである以下の認証取得が、入札の主観点(加点)として明確に評価されています。

  • 「働く女性応援」中小企業認証(+10点)
  • 「仕事と生活の調和」推進企業認証(+10点)
  • ふくしま健康経営優良事業所(+10点・総合評価加点あり)

つまり、SDGsに取り組むことは、漠然としたイメージアップだけでなく、「入札ランクのアップ」や「落札率の向上」という実利に直結するのです。

福島県(建設工事等入札参加資格)の加点対象

これらはSDGsのゴール(ジェンダー平等、働きがい等)に直結するため、「SDGs活動の実績作り」と「入札ランクアップ」を同時に満たす最強のツールです。

項目名加点数関連するSDGs備考
「働く女性応援」中小企業認証10点ゴール5(ジェンダー)女性の活躍推進に向けた取組
「仕事と生活の調和」推進企業認証10点ゴール8(働きがい)ワーク・ライフ・バランス推進
ふくしま健康経営優良事業所10点ゴール3(健康)従業員の健康管理への取組
次世代育成支援企業認証10点ゴール8・10子育て支援など(「働く女性」「仕事と生活」との重複適用不可の場合あり要確認)
障がい者雇用(法定雇用率達成)10点ゴール8・10法定雇用義務の遵守
建設業新分野進出優良企業表彰10点ゴール9(産業)新分野への進出・経営革新

注意点:

これらの加点は「主観点」に加算されます。客観点(経審)とは別の「県独自の評価」です。

【免責事項:入札加点・制度情報について】

本記事に掲載している福島県および各自治体の入札参加資格、加点制度、認証制度に関する情報は、執筆時点(2026年1月現在)の公表資料に基づいています。

入札要件や評価基準(主観点・客観点)は、年度ごとや発注機関(県・市・町)によって改正される場合があります。 実際の申請や経営事項審査の対策にあたっては、必ず最新の「入札参加資格審査申請の手引き」や各自治体の公式発表をご確認いただくか、当事務所まで個別にご相談ください。 なお、本記事の情報に基づいて行われた判断による損害等については、当事務所では一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

③ 金融機関の融資判断

地域金融機関においても、ESG(環境・社会・ガバナンス)要素を融資判断や金利優遇に反映させる動きが定着してきました。

非財務情報の開示は、円滑な資金調達の鍵となります。

3. 究極の問い:「同じ条件なら、どちらを選びますか?」

価格も、品質も、納期も全く同じA社とB社があります。

  • A社: 従来のやり方を踏襲し、社会課題への姿勢が見えない会社
  • B社: 環境に配慮し、従業員を大切にする姿勢を公表している会社

取引先や消費者は、どちらを選ぶでしょうか?

現代においてSDGsは、「差別化が困難な時代の、最低限の信用パスポート」としての機能を果たしています。

まとめ:SDGsは「未来の売上」を守る盾

かつてSDGsは「余裕のある企業がやる慈善活動(きれいごと)」のように見られていました。

しかし現在、その認識は完全に逆転しています。

SDGsは、環境変化、規制強化、顧客離れといった「未来の脅威」から自社のビジネスモデルを守り、長期的に利益を出し続けるための最も強力な防衛戦略なのです。

「SDGsは未来の売上を守る盾」。

この認識を持つ企業だけが、10年後、20年後も生き残り、繁栄を続けることができるでしょう。

「何から始めればいいかわからない」

「自社の現状が要件を満たしているか知りたい」

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